2023年10月から、インボイス制度がスタートします。
企業側は、適格請求書(インボイス)がないと仕入税額控除が受けられなくなります。
一方、自営業やフリーランスで免税事業者だった場合、インボイスを発行するためには課税事業者になる必要があります。
インボイスの発行をためらう自営業者やフリーランスもいると予想されますが、企業側は、どれほどインボイス制度に向けた準備をすすめているのでしょうか。
この記事では、開始まで残り3ヵ月を切ったインボイス制度の取り組み実態について解説します。
【インボイス制度】自営業者やフリーランスが9月までにやるべきことは。対応を決めていない企業が約半数
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
インボイス制度の対応状況
Sansan株式会社は、請求書関連業務に携わる1,000名のビジネスパーソンを対象に「インボイス制度に関する実態調査」を実施しました。
出典:Sansan株式会社「インボイス制度に関する実態調査」(以下同)
インボイス制度への対応状況については、約9割の企業で対応の準備が進められています。
ただし、進捗状況は企業によってばらつきがあるようです。
請求書受領の準備状況については、「完了している」と回答した企業は22.5%にとどまり、およそ8割の企業では準備が完了していません。
自営業者やフリーランスが気になる点は、インボイスを発行しない場合でも、企業が取引を行ってくれるかでしょう。
企業側が免税事業者に対してどのよう働きかけているのか、実態を確認してみましょう。
取引先の免税事業者への対応方針については、33.9%が「免税事業者でも取引を継続する」と回答しました。
「課税事業者になってもらうように働きかける」が16.6%、「まだ対応を決めていない」が49.5%と、約半数が今後の対応を決めていないことがわかりました。
期限が差し迫るタイミングで、課税事業者になるよう働きかける可能性もあります。
インボイス制度がスタートする前にやるべきこと
インボイス制度がスタートする前に、自営業者やフリーランスが実施すべき項目は、以下の2点です。
- 取引先にインボイスの発行が必要かを確認
- インボイスの発行がいつでもできるように準備
まずは、取引している企業がインボイスの発行を求めるかを確認しておきましょう。
一方、企業がまだどうするか方針を決めていない場合もあります。
ぎりぎりになって対応を求められるケースも考えられるため、すぐにインボイスの発行ができるように、以下を準備しておきましょう。
- マイナンバーカードなどの証明書
- 適格請求書発行事業者の登録申請書(書面申請の場合)
- 本人確認書類(個人事業主の場合)
制度開始となる10月1日からインボイスを発行するためには、9月30日までに登録申請をしておく必要があります。
期日を過ぎてしまった場合、すぐにインボイスを発行することができない可能性があります。
どうするかを決めかねている場合は、定期的に取引先の方針をチェックしておき、柔軟な対応を取れるようにしておきましょう。
適格請求書発行事業者の登録申請方法については、こちらの記事「インボイス制度の概要と申請方法」を参考にしてください。
- Sansan株式会社「インボイス制度に関する実態調査」